深夜の首都圏渋滞

 死なないために動いて逃げる、その判断以外であれば、むやみにその場を動くべきではない。老朽化したビルの外壁が雨のように降っている映像や、路上に散乱したガラス片の様子が、東日本大震災(3.11)発生時の首都圏では見られた。一つ間違えば、身体の生死に関わるダメージに直結する。先ずは、慌てて外に飛び出すことには気をつけたい。
余震もある、崩れかけた外装・外壁、割れかけたガラス窓が落下することもある。建物から外に出る場合には、ヘルメットを着用するなど、落下物からのダメージを避けるような万全の準備をしておきたい。
もう一つ、早く家族の居る元に帰りたい、自宅のことが心配であるため、すぐに移動したい気持ちは分かる。しかし、むやみに移動を開始することは避けよう。震災時には、”積極的にその場を動くべきではない”が常識になっている。帰宅困難者として、その場に留まり、正しい情報を入手した後に行動に移すようにしよう。3.11発生後の首都圏では、JR・私鉄など多くの鉄道の運転中止により、多くの人々が駅周辺で身動きが取れなくなる騒ぎとなった。バスやタクシーは動いていたが、金曜日の午後と云うこともあり、多くの幹線道路は大渋滞に陥り、移動を始めた人達は徒歩に頼るほか無くなってしまった。
もし、これが首都圏を直接襲った震災であれば、もはや移動することが大きなリスクを伴うことは想像できるだろう。
帰宅困難者の定義として、自宅までの距離10㎞までは全員帰宅可能としている。そして、距離10~20㎞を帰宅可能範囲としている(運動能力の差を考慮して、1㎞ごとに帰宅可能車が10%減少すると試算)。自宅までの距離が20㎞を越える人々を、全員帰宅困難としている。