ヘルメット

 ”積極的にその場を動こうとしない”、これを実践するためには、従業員がある程度の日数を過ごせるような職場での備えが必要になる。これは、従業員(スタッフ)の自宅までの帰宅困難度によって変わると思うが、やはり最低3日分は、職場に留まれるような備えをしておくべきであろう。ある意味、三日間は自分達で賄う責任範囲と考え、それ以降は職場近隣の人々と協力し合う(不足物資の融通や炊き出しなど)、そして不足分を公的機関からの援助を頼ることになる。

3日分は、衣食住の3つのカテゴリーを考えることになる。衣服については、個人の範疇となるが、仕事着がスーツであれば行動に制限があるので、カジュアルな服装を靴と共に従業員に準備させておくことも必要だと思う。また、ヘルメット、手袋、防寒着(雨具)などは、企業・オフィスが進んで準備しておくと、助かる面が大きいと思う。食事については、乾パンなどの非常食的なものから、少々凝った飽きのこない保存性のよい食品(レトルト、インスタント、缶詰など)を複数考えておけば、被災中における希望の時間となるだろう。これらの対策準備や心遣いは、その後のスタッフの企業内での活躍のためにも大切な意味を持つことだと考える。

そして、もう一つ、食べることと同じく重要なことに、トイレと衛生がある。水洗できないことを考慮した排泄物の処理、感染症を防止するための洗浄・除菌についても準備しておきたい。
これらの職場での備えについては、スタッフ・従業員にも事前に伝えておき、担当や係などを決めておくと、彼らにも責任感や使命感が芽生え、リスク発生時における組織の一体感へ、大きく寄与するものと思う。