寝室

 木造2階建て(3階建ても)の住まいであれば、是非寝室は2階以上にしておこう。耐震構造の不十分な住宅において、1階に居続けることのリスクは非常に高い。阪神淡路大震災では、2階建て住居の1階部分が大きく押しつぶされた。たとえ、耐震基準を満たした住宅であっても、大きな揺れ(前震や余震)を複数回受けた建物は、ダメージを受けている可能性もあり安心できない。それが寝室を1階にしない大きな提案理由だ。

日中の一般的に起きている時間帯であれば、1階に居ても安全なスペース(丈夫な机の下、丈夫な壁や柱の脇など)に移動できる可能性が高いが、就寝中しかも真っ暗の中でそれをするのは極めて難しい。
阪神淡路大震災では1月中旬の夜明け前(早朝ではあるが真っ暗であった)、2016年4月の熊本地震では深夜に発生、このように地震は季節や時間に関係なく不意に襲ってくる。1階の空間が、屋根を含む階上の重さに耐えきれず押しつぶされる。これにより、1階で就寝中の多くの方々が犠牲になっている。先ずは、寝室は2階以上にしておきたい。

建物は耐えたが、部屋の中のタンスなどの家具が倒れたり、机上のテレビや棚などが落下することが、大きな地震の場合には必ず起こる。それが就寝中のあなたの顔面や頭部に落下してきたら、そんなことを考えたら恐ろしくなる。もちろん、重量のある家具が就寝中の体の上に倒れてきたら、重傷以上のダメージとなる想像は容易に出来る。
よって、2つ目は、寝室には120㎝を越える背の高い家具を置かないことだ。また、背が低いのでその家具の上に物を載せたい気持ちになるが、少なくとも落下したら強い衝撃を与えるような重量物を置かないことを忘れてはいけない。置くのは、柔らかい縫いぐるみ程度にしておこう。家具の設置について、借家であるとなかなか難しいが、持ち家であれば、L字パーツなどによる壁への固定で更に安心できる。
そして、いつも寝ている場所から、上方を眺めてみよう。落ちてきそうなもの、崩れそうなもの、何か危険と感じるものがあれば、取り除いておくことが賢明である。このように、寝室においては事前の準備対策が最も有効であり、自宅における安全地帯として欲しい。

そして、もし寝室にて大きな地震発生に遭遇したら、布団を被ってうずくまり、揺れが収まるのを待とう。ベッドの上であれば、振り落とされそうになるかも知れないが、ベッドの枠に掴まるときには、ベッドと壁の間に手を挟まれないように気をつけて欲しい。