ラジオ

 古い話になるが、大正12年(1923年)9月の関東大震災後、混乱や不安を煽るデマ(間違った情報の拡散)によって、一般の被災者が不安と憤りの中、その行動を惑わされたことがあった。口コミや新聞などに情報源が限られていた当時の事情を考えれば、昔話で終わらせることも出来るが、情報溢れる現在にも決して無関係なことではない。現に、東日本大震災の時にも、デマの拡散によって被災者達に余計な不安を与えたり、便乗した騙しの犯罪も発生している。したがって、混乱の中、様々に入ってくる情報から正しいものを選別していくことが大切になってくる。先ずは、間違った情報の存在があり得ることを認知し、常に情報のフィルタ機能を働かせる冷静さを持ちたいものである。

さて、具体的な情報収集について考えてみたいと思う。発生後、出来るだけ早く地震規模と警報有無の情報入手に努めたい。最も早い情報としては、気象庁発表にリンクして伝えるテレビ・ラジオ放送(NHK)、または携帯端末のアプリケーションを経由したものであろう。少なくとも、震源地と震度の規模と範囲が極めて短時間で把握できると思う(速報は、地震発生後1分半以内と決められている)。震源地が海であれば、海岸近くに居る人は津波の可能性を疑った行動を取れる態勢をすべきであろう(津波情報は地震発生後約3分以内と決められている)。地震発生直後の生き残るための情報収集に全力を傾ける。

もう一つは、居住する、あるいは勤め先の自治体において、インターネットを経由した防災時情報のアプリケーションを準備していることがある。スマートフォンにインストールしておけば、機器のGPS機能と相まって、防災マップ連動で避難所情報やナビゲーションを行ってくれる。是非、関係する自治体の防災ホームページにて、確認して欲しい。
そして、これからの行動については、地域の防災無線やラジオなどの公共放送を主の情報としつつ、適宜SNS(自治体、警察、消防などのアカウントを推奨)から得た有益な情報をヒントにしていけば良いと思う。くれぐれも、感情を煽るような、またセンセーショナルな情報については、フィルタを掛けることを忘れないで欲しい。

この時代、ラジオ放送を聴かないためラジオを所有していない家庭も多いだろう。実は、この点が防災対策上の準備として懸念されている問題点の一つである。震災時に視聴覚で提供するテレビ放送は非常に便利であるが、停電時には見ることができない。なので、家庭に1つは、乾電池で駆動するラジオを持っておきたい。基本的に震災時のラジオ放送は、最も被災者が必要とする情報を提供するように努めている。
また、最近はスマートフォンなどの携帯端末に登録できる防災情報アプリケーションが便利である。自治体から提供しているアプリケーションもあるので、地域に密着した情報が欲しい場合には、インストールしてみてはどうだろうか。