保存水

 このテーマは震災時において最も対応が不足している部分であり、その対応もその時の状況により変化するため単純ではない。
近隣の避難所は、災害時のオアシスとして、緊急避難を強いられる被災住民にとってはありがたい存在であるが、災害弱者(災害時要援護者)にとっては、多くの困難を強いられている現実もある。

災害時要援護者とは災害時に他からのサポートを必要とする被災者のことで、乳幼児、高齢者、身体障害者の他、妊婦、疾病者、外国人、旅行者などが相当する。また、食物アレルギーなど、食料の材料に制限のある人も入るだろうし、喘息、アトピーなど平時は抑えられているが、発症の恐れのある隠れた疾病者として災害時の弱者とも考えられる。

避難行動要支援者(ひなんこうどうようしえんしゃ)名簿、この存在を知っているだろうか。自治体では、誰が災害時に特別な救援を必要としているかを名簿で把握している。
高齢者の世帯、平時に介護を必要としている方、難病の疾病者、医療装置にて生命維持を行っている方など、特に大きな困難を災害時に強いられる方をあらかじめ自治体が知っておき、関係部署(消防、警察、避難所など)と情報共有して、安否確認と避難における必要な対応を施すことが目的である。この名簿記載はプライバシーへの配慮もあり、義務ではなく同意式(登録式)で実施している。名前、住所、年齢や要支援の理由など個人情報が含まれてはいるが、ここは震災時における命綱になる可能性もあるため、名簿記載のために登録することをお勧めしたい。詳しい内容については、お住まいの自治体(市区町村)に問い合わせて欲しい。

さて、具体的に何を対策として考慮すべきか考えてみたい。
これは個々のケースによって異なってくる。
日頃の生活の中で、何を特別としているのか、先ずはそれを書き出すことから始めよう。
乳児であれば、①離乳食、②粉ミルク(ほ乳瓶)、③紙おむつ、④おしり拭きは最低限、その他にも清潔なタオルは、汗拭きや保温のために必要になる。
高齢者としてオプションとして準備するもの、これは個別に必要度が変わるので統一したものにはならないが、①食べ慣れた嗜好品、②身体のケアに関わるもの(歯、目、肌など)、③衛生品(尿漏れ防止パッド、入れ歯洗浄剤など)などが考えられる。
障害を持つ方々については、その症状によって必需品を考えてみることになる。いずれにしても、家族や普段介護される方と一緒に検討して準備するのがよい。

災害弱者としてのハンディキャップを埋めるためのオプション対策は、自身が必要となるものをきちんと把握しておくことである。震災発生後、支援物資が被災地外より送られる準備がなされるだろう。しかし、その中に本当に必要なものが含まれているか、あるいは十分な数であるかは誰にも分からない。そのための自身による備えが大切であることを覚えておこう。
一週間を乗り切れば、必要な救援物資も徐々に届くだろう。