報道記事(エコノミー症候群)

 被災中は十分な水分補給と、数時間ごとに手足を動かすような運動をするように心がけ、同じ姿勢を長時間保つようなことのないようにしよう。
あまり動くことなく、窮屈な姿勢で長時間過ごしている(まるで旅客機のエコノミークラスの座席のように)と、足のふくらはぎの静脈内に血液の塊が出来やすくなる。そして、次に身体を動かしたことをきっかけに、ふくらはぎの静脈に溜まった血液の塊(血栓)が肺に向かって移動するが、呼吸器官として大切な働きをする肺の毛細血管を詰まらせ(塞栓)、呼吸困難を生じさせる。これが静脈血栓塞栓症(急性肺血栓塞栓症)、いわゆるエコノミークラス症候群と云われる、命を脅かし完治に時間を要する恐ろしい急性の病気だ。

避難所は多くの被災者により、足の踏み場もないほど密集している可能性があり、移動することを遠慮してしまう。また、そんな状況を回避するために、狭いながらも自家用車の中を避難場所として使っている被災者も居るだろう。しかし、気をつけなくてはならないのは、エコノミークラス症候群の発症だ。
離れたトイレに行くことを極力少なくするために、水分補給を控えると体内の血液濃度が高まり、より血栓を起こしやすくなる。そして、乗用車の座席に座ったままの状態では、心臓から遠く、更に心臓より低い位置に脚部がある場合、血液の循環が悪くなるから、発症しやすく非常に危険である。
年齢に関係なく発症する。特に女性は水分補給を意識的に避けるあまり、実際の発症例も多く、死亡したり、長年後遺症に悩ませている事例もある。

対策としては、①十分な水分補給を心がける、②睡眠中は脚部を心臓の高さにすること、③手足を動かすような運動を数時間ごとにすること、④むくみをほぐす脚部のマッサージをすること、⑤弾性ストッキングを履き事前のリスクを回避するなどである。