ヘルメット

 当然、鉄筋コンクリート製の構造物であるマンションは、優れた耐震性を持っているものが多く、倒壊しないように建物自身の耐震性は十分考慮されているだろう。しかしながら、多くの居住者が密集したその内部(各部屋)は、一時的なパニックに陥るだろう。停電をはじめ、ガス・水道などの共有インフラが停止する、それが夜間だとすると不便さに加えて不安が増すだろう。避難方法、食料・生活用品の確保、外部との連絡方法など、状況により対応が変わってくるので事前に考えておきたい。

最近はマンションなどの集合住宅において、平時における近隣(お隣さん)とのコミュニケーションがないというのが、特に都心においてはあるようだ。かつては、向こう三軒両隣り風に集合住宅(団地)などでは、お互い家族構成も知り、共有部分の清掃など自治会が助言しながら相互協力の形があったが、昨今は単一家族化(より個人主義)、プライバシー保護などの理由が前に出てしまい、家族構成はおろかお隣さんの名前も知らない、そんな時代になってしまった。
とはいえ、震災時の非常事態において、他人と助け合うことが増えるはずだ。震災時の対応について、家族単独ではなく、集合体として動いた方が、物資授受や情報入手など、はるかに有利なことが多いであろう。

したがって、マンションの管理組合や自治会が開催する防災訓練に参加することをお勧めする。おそらく、震災時に想定される困難に関しての準備や行動の指針について、知ることが出来るはずだ。参加することで、震災発生時のパニックを多少なりとも抑えることが出来るはず
だし、行動にも余裕が生まれるに違いない。そして、個人(家族単独)として準備すべき防災対策もクリアになってくるだろう。
なによりも、訓練を通して、近所の防災に詳しい担当者や関心ある住人の顔や名前を覚えられるのは、もしもの時には相談できる仲間となりうる。