保冷剤

 大きな震災を受けると、被害の大きい地域においては、全ての流通機能が停止してしまう。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの販売店も、受けた被災状況によって再開の見通しも不明である。もちろん、非震災である外部からの食料物資提供の準備は、すぐに行われると思うが、道路の寸断など交通移動手段に困難が生じれば、食料物資の到達も見通しが立たなくなる。したがって、震災直後のしばらくの時間を自助で乗り切るだけの準備はしておきたい。
食糧確保は、飲料水の確保に等しく重要なことである。

停電後、冷蔵庫の機能はすぐには失われないことを覚えておこう。冷却された各スペースが、室温(常温)になるまでには、ある程度の時間を要するので、その時間を上手に使いたい。すなわち、冷蔵庫内の食料を捨てることなく、食料として消費しよう。そのためにも、ドアの開け閉めはなるべく少なく短時間で行いたい。
冷蔵室の肉類、すぐに食べないものは冷凍室へ移動させよう。冷凍室は冷蔵室として役立つし、クーラーボックス用の保冷剤が入っていれば、なお長持ちする。クーラーボックスに移し替えることも可能であるが、ここはどちらが有利であるかは、その状況で判断して欲しい。例えば、リスク上において頻繁にキッチンの出入りが大変であれば、クーラーボックスに移し替えるという選択だ。

主食である米、炊飯器が使用できなくても炊きたてのご飯を食べることができる。カセットガスボンベ式コンロ(鍋や圧力鍋)を用いて、一日分の米を炊く方法、そして手軽なパック米飯の湯煎である。パック米飯は保存可能期間も長いので便利だ。
フリーズドライ食品も保存期間が長く、不足した栄養素の補給に上手に選ぶことをお勧めする。乾燥ワカメなどは、スープ系の食べ物にトッピングすれば、風味も良くなり食も進む。味噌汁などはお湯を注ぐだけで完成し、体も温まる。乾燥野菜、ふりかけなども常備しておくと役に立つと思う。

そして、種類も豊富な缶詰は、価格も適正で選択肢も多く非常食として最適である。魚や肉には既に味付けがなされ、そのままでも食すことが出来るし、もちろん調理も可能でオリジナルなメニューとして被災中の食事を単調なものから開放させてくれる。その他、おかず、焼き鳥、果物、デザートと様々あるので、好きなものを選択すればよいだろう。