食事

 食べると云うことは、生き物にとって生命を維持するために不可欠な行為であるが、我々人間は腹を満たす目的以外に、味覚、臭覚、視覚を使って食べることを楽しむことがある。
緊急非常食として、乾パンやビスケット、アルファ米といった保存性が高く、またエネルギーに変換しやすい炭水化物や糖質のものが、防災用グッズに含まれていることが多い。
もちろん、震災後は生命の維持が最優先であるので、これらの非常食としての選択は正しいと云えよう。

しかしながら、震災後の被災期間が長引けば、カロリー摂取のみでは健康は維持できない。タンパク質、脂質の他、ビタミンやカルシウムなどの栄養素も欠かせない栄養素であることを意識すべきである。不安によるストレスも相まって、貧血、倦怠感、口内炎に悩まされたり、被災中の健康被害は長引けば長引くほど、深刻になっていくだろう。
また、炭水化物のみの非常食では、平時に経験していた食べることの楽しみが失われている。制限があるにしても、味覚、臭覚、視覚を楽しむ食事は、明日への活力にもなる。これは、決して贅沢ではなく、食べることの大切さを理解して取り入れて欲しいと思っている。