故きを温ねる

 地質学、火山学、地震学など地震発生に関する様々な学問や研究が進められている。最近までは、日本列島は4つの大きなプレート上に乗っていると云われていたが、実際にはもう少し分割された複数のプレートが存在するらしいことが分かってきている。
また、2000を越える数の活断層が日本列島上にあることも分かっている。しかし、活断層を震源とするものは、数十万年以上の発生頻度のため、いつ頃に次のズレが生じるのか予測が出来ていない(確率としては低いけど、いつ発生かも分からない)。
何よりも、地震発生後の震源地調査によって見つかる断層帯もあり、発生場所も未知だ。

過去に発生した震災の歴史から、震源地別の発生周期を知ることができる。これも貴重な予測データである。
相模トラフでは200年周期、前回が1923年関東大震災(大正地震)であるため、次は22世紀になると云われる。
南海トラフにおいては、およそ100~200年周期に大きな地震の震源となっているとされていたが、最近は同じ海域でも複数の震源タイプが推測される研究もあり、単一周期ではない可能性もある。したがって、正確な予測周期としてはまだ不十分である。

過去の事例から、大きな地震の5年以内に火山が爆発する(大地震が火山噴火を誘発する)。これは世界で生じた大地震の歴史から云われていることである。(1952年カムチャッカ地震、1960年チリ地震、1964年アラスカ地震、1990年フィリピン地震、2004年スマトラ地震など)
2011年の東日本大震災(3.11)について同様の心配がなされているが、2016年7月時点において予測も兆候も捉えられていない。

したがって、いつ、どこで発生するのか、それは誰にも分からない。
「忘れた頃にやってくる」、それが現状における震災であり、非情である。
地球の歴史で考えれば、数千万年の時を経て、地表の移動と隆起により日本列島が誕生する。日本列島が今の形になってから、もう100万年を経ていると云われるが、我々人類による地震についての学問は100年にも達していない。計測センサやデータを用いた研究などは、ここ数十年間であるため、正確に地震発生を予知することは難しい。
しかしながら、GPS(全地球測位システム)、圧力計(土中、海底)などを用いた常時観測データの変化やその分析研究により、可能性としての地震発生リスクが少しずつ分かるようになり始めた。

首都直下地震、東南海トラフなどは、既に自治体による防災計画に盛り込まれ、災害想定や減災に向けての対応も進められている。このような情報は、備えとして知っておきたい。

いずれにしても、震災の可能性がある場所に我々は生き続けるわけなので、早めの防災対策が最大の助けになることも知って欲しい。