避難所NAVI

 大きな震災が発生した場合、家屋の損壊により自宅での生活が難しくなる住民や、そこを訪れている旅行者なども避難所利用の対象者となる。(東京都においては、帰宅困難者向けの一時滞在施設を別途開設準備される。)
通常、小学校、公民館などの公的施設が避難所として指定されている。住民はあらかじめ自宅住所によって行くべき避難所が割り当てられているので、自治体の防災計画(自治体ホームページなどに記載)より知っておく必要がある。
では、誰が避難所の運営をするのかご存じだろうか。

当然、震災により自治体(役所、消防など)自身も被災者になっているため、十分な人員配置を行うことができない。したがって、彼らは、優先的に人命救助や二次災害防止、情報の集約発信、物資の受け入れなどに関わる必要になる。
そのため、基本的に避難所の運営は、地元住民を主に利用者が行うことになっている。
地域によって運営方法の差があると思うが、通常は自治会、町内会、消防団などが自治体(役所)から託されている。
しかしながら、彼ら自治組織も被災集団であるため、働ける者が運営の手助けをすることになる。なので、利用するあなたも運営の一員として期待されるだろう。

避難所利用者は、受付時に名簿登録される。
これは安否確認だけでなく、必要な食事、物資、特別な支援の要否を把握するために行われるが、もう一つ”手伝えること”についても記載してできると運営本部は助かるだろう。
所有する資格(看護士、保育士、介護士、調理師、通訳など)の他、具体的に手伝える内容を記述してもよいだろう。
避難所開設後に求められるのは、食事準備、トイレ設置、居住スペース割り振りなどであるが、ほぼ同時にスタートさせないといけない。食事については、備蓄している非常食を倉庫から運び出し、利用者に行き渡るように配給しなければならない。水道が断水していれば、飲料水の確保(非常用備蓄のペットボトル配布)も必要になるし、水洗トイレの使用を禁止して仮設トイレの設置を急ぐことになる。居住スペースについては、最初は我先にと十分なスペースや少しでも居心地のよい場所を確保しようと利用者による競争になり、後からの利用者が手狭で窮屈な思いや利用そのものを諦めてしまう可能性もあるので、早めにスペース割り振りにも気を遣いたい。基本的には、家族構成単位での割り振りであり、特に高齢の単身者については近所付き合いなども考慮されるべきである。

同じ被災者として、お互い出来るだけ気持ち良く過ごせるようにしなければいけない。そのためにも、最低限のルールを利用者は守らなければならない。
生活のリズムを安定させるために生活の時間(起床、食事、清掃、消灯)を決める。トイレの使用方法やゴミ分別方法、そして食事配給における約束ごとも決められているはずだ。
このようなルール作りも、避難所開設と同時に利用者に理解してもらい、適宜状況に見合った修正や追加を行うことになる。
また、避難所における女性への配慮は考えなければならない。これは男性には気づかないこともあるため、事前準備や利用者要望の取り纏めできる女性リーダーが、運営組織内に必要になる。

このように避難所を運営するには、様々な考慮すべき事柄や役割があり、利用者は困難に直面した被災者でありながらも、その運営の一員にならないといけない(そう期待されてる)ことを知っておく必要がある。
したがって、あなたが運営にとって期待されるメンバーであれば、積極的に手を挙げて無理にならない範囲で参加して欲しい。きっと大きな助けとなり、利用者全てにとっての感謝となるだろう。