家族

 大きな地震により家屋が損壊する。しかし、その被害状況は同じ地域とはいえ様々だろう。幸運にも倒壊を間逃れたとしても、余震が頻繁に続く中、その自宅に居住し続けることを精神的に出来ない人もいるだろう。いや、屋根のある建物屋内に居ることさえ、不安に感じる被災者も多く、広い敷地にテントを張ったり、自家用車の中で暮らす人まで出てくるのが実際のようである。それでも、その方が快適に過ごせればよいのであるが、困難を伴い、健康への影響を及ぼすこともある。

震災後、どのくらいの期間を被災生活として続けなくてはならないのかは、大きな関心事であるが、その質問に明確に答えることは難しい。
したがって、短期的、中長期的に暮らすことを考えて、避難場所の確保について考えておく方がよいだろう。

【短期的】
 概ね震災発生から2週間までの過ごし方についてだが、最初の3日間は自助により堪え忍ぶ必要がある。隣近所も自治体自身も被災者になるので、先ずは救援活動が始まるまでの最低3日間は自身(家族)の力で、主に食べることをやらなければならない。もちろん、それも出来ない環境下に置かれた場合は、優先的な支援を受けるべきである。

もし、自宅の家屋のダメージが少なく、どうみても住み続けることが可能と判断できれば、その自宅の部屋を応急的に避難場所として活用すべきである。
木造2階建てなどで、更なる余震による家屋へのダメージを考えるのであれば、主に過ごすとする避難スペースは2階にしておこう。そして、万が一の場合に備えて、屋外へのエスケープルート(逃げ道)を考えておきたい。もし、部屋の中が家具の転倒や物品の散乱によって足の踏み場もなようであれば、避難スペース同様にエスケープルートのための片付けもしておきたいと云うことだ。

一方、ダメージにより家屋内には入れない、入室には不安を感じる、あるいは精神的に入りたくないと思うのであれば、自治体で指定された避難所に行くことも出来る。共同生活ではあるが、最も早く物資の提供は受けられ、被災期間における基本生活が送れるだろう。
または、自宅敷地に雨風をしのぐためのシートやテントを張る、あるいは自家用車の中を一時避難所とする方法もある。自宅に敷地がなければ、自治体で指定された広場においても実施可能だろう。しかしながら、よっぽど素晴らしい設備でない限りは、2週間(短期)が限界なのではないだろうか。空調もなく天候に大きく影響を受けるだろうし、特に狭い空間での生活は、エコノミークラス症候群の発症へと繋がってしまい、長期的に健康を損ねる恐れがあるからだ。いずれにしても、短期間の住みかと考えて欲しい。

【中長期】
 半月(2週間)を超えるような避難生活における拠点について考える。
引き続き自宅建物が使用可能なのであれば、居住スペースを増やすためと安全確保のために部屋の片付けを進めたい。出来ることであれば、廃棄物の分別も考えておきたい。
震度7を含むほどの巨大震災であれば、2週間を過ぎた段階であっても比較的大きな余震(震度4前後)を受ける恐れが大きいだろう。建物へのダメージよりは、被災者に与えている心理的、精神的なダメージが気になる。ちょっとした揺れに怯える、常に揺れがあるゆな錯覚に陥るなど、地震の揺れに対して過敏になることである。特に子供達への影響が引きずらないためにも、家族は彼らの話しに耳を傾けてあげたい。
絶対の安全を保証をすることは難しいことではあるが、部屋の片付けや家屋の修繕を通して安全スペースの確保を目にすることで確認する。そして、被災期間を乗り切るための生活(衣食住)についても希望を持って家族全員で共有していきたいものだ。

日常の取り戻しが、当面の目標であり、学校(学習)や職場への復帰についても考え始めたい頃だ。

もし、避難所生活が長引く場合にも、日常の取り戻しは考えておきたい。
自宅のあった場所での生活が再開できると判断できれば、その実現に向けての考えを巡らせるのも少しずつ始めてもよいだろう。
一方、家屋の損壊が大きく再開の目処が立たないような場合には、震災を逃れた周辺地域での一時的な生活拠点移動も検討の一つに入れておきたい。今後、みなし仮設住宅として自治体からの経済的援助も考えられる。
いずれにしても、長引く被災生活は心身ともに疲労するはずであるので、希望が持てるような日々にしていきたい。この時期になると、自治体支援や被災地の外からの支援も始まっていることだろう。困ったことは相談し、自身の安心できる居場所を確保しておきたい。