コットンシート

 人は大量の汗をかく。活動している日中のみでなく、就寝中においても首筋、脇の下などから発汗し体温調節を自動的に行っている。発汗により体から失った水分は、飲み物や食物から補給することになる。
特に震災により空調(冷房)設備も停電のために使えないとすると、夏季の暑さは身に応えることだろう。身体は体温を下げて平熱を保つために発汗することになる。発汗量が増えると、肌着からの水分放出が追いつかず肌に纏わり付く、かなりの不快な状況で誰もが経験したことがあるだろう。その後、肌着が乾いたとしても、肌の表面には汗によるべたつきが残り、中には痒みを感じる人もいるだろう。

汗のほとんどは水分であるが、僅かに塩分(塩化ナトリウム)をはじめミネラル分などが混ざっている。発汗と同時に肌の表面(表皮)の老廃物も剥がれるが、流れ落ちない限り汗と混ざって肌の表面に留まることになる。汗の出口となる汗腺を塞いでしまったり、肌が敏感な人であれば、あせも(汗疹)などとして肌の炎症を起こし痒みを伴う。
痒みを伴うと無意識に掻いてしまうため、肌を傷つけてしまい更に悪化させることがある。
特に、乳児をはじめ小さな子供達は、大人に比べて発汗が多いので炎症を起こしやすく治りにくくなる。

シャワーを浴びる、あるいは風呂に入ることが出来れば心配ないが、断水により水道が使用できない場合には、発汗後の対処について考えなければならない。
肌の表面に留まった汗(老廃物含む)を取り除くことが基本になる。井戸水や風呂の残り湯などの飲用向けでない水が使えるのであれば、タオルを濡らして絞り、それで体を拭くことができる。洗面器に一杯あれば、拭いて濯いで絞ってを繰り返すことで、一人の体全体の汗を拭き取ることができる。使い終わった水は、トイレや植物への水やりに利用できる。
全く水がない可能性は極めて少ないが、なるべくなら大切に使いたいと思うのが人情だろう。体を拭く目的であるのであれば、ウエットテッシュのような水分を含む柔らかい紙繊維シート(紙タオル)を用いるのがよい。乳児用品や介護用品として大判の個装された体拭き用の商品もあるので、非常用として準備しておいてもよいだろう。

さて、発汗を抑える工夫も考えてみよう。
速乾性素材を用いた肌着やTシャツは、汗の水分を吸収発散しやすく、べとつかずサラッとした肌触りがあり、着続けるにおいて不快がないのがメリットである。臭いの元になる細菌の繁殖を抑える抗菌処理した商品もある。もちろん、洗濯してもその効果は持続するためお勧めである。
そして、ベビーパウダーの使用はどうだろうか。乳児の風呂上がりや、オムツ替えの時に肌に軽く塗布して使用する白い粉のスキンケア商品だ。
汗を洗い流す、あるいは汗を拭き取った後に、汗の溜まりやすい首筋、腕・肘関節の内側、下着のゴムにより圧迫されるところに軽く叩いて塗布するとスッとした感じとすべすべ感を実感できる。厚く塗りすぎると汗の出口(汗腺)を塞いでしまうので、軽く塗ってあげる。
また、首、手首などの動脈が通るところを冷やしてあげると汗がひく。よく冬季にダウンジャケットなどの厚着で急いで暖房の効いた交通機関に飛び乗ると、暑くて堪らなく汗が出そうになる場合があるが、その様なときには首筋に風を通したり、手首をまくって手摺りなどの冷たい部分に触れると発汗を抑える方法と同じである。冷却ジェルなどを代用しても汗を抑える効果がある。
ただし、適正な水分補給は生きるために必要であるので、汗が出るからといって飲まないというのは間違えである。