ヘルメット

 震災時の動画、多くの人がテレビ番組やネット投稿の動画などで視聴していると思う。オフィス内の固定カメラの録画映像では、壁沿いに設置した背の高い書棚が次々と倒れる様子、事務デスクの上の液晶ディスプレイやファイルや書類が飛び跳ねている様子、大きなコピー複合機や机・椅子自体が移動するのが映しだされている。ここに居たらどうなるだろう、そうイメージすると恐ろしさを感じる。

また、高層階のオフィスでは長周期振動により、長い時間荒波に浮かぶ船のように揺れる中に留まり、立っていることも容易でない、これも生きた心地はしないだろう。
企業によっては、大きな揺れでも棚が倒れないような固定工事をしていることだろう。しかし、書類が綴じられた太いファイルがギッシリ詰まった書棚が揺れた場合、そのファイルが持つ力学的エネルギーは想像を超えるだろう。棚が倒れることがなくても、重量を持ったファイルが、扉を突き破り、雪崩のように落下してくる可能性もあるだろう。
そんな最悪のケースを考えながら、”絶対に死なないこと”をイメージすることが大事である。圧死から自分を守る、頭部への致命的な傷を避ける努力、重量物が覆い被さり身動きできずに呼吸困難になること(窒息死)を避けることだ。また、救助が必要になった場合にも、事態からショック症状に陥らないような冷静さも生死を左右することだろう。

では、どうすればいいのか・・・、答えは簡単ではない。また、答えが1つとも限らない。
自身の身を守る時間、これは震災発生から約2分間とされている。少なくとも、この2分間は、死なないことに集中して欲しい。
そのためにも、より安全な仕事場(オフィス)にしておきたい。地震発生時、すぐに身体を守れる広いスペース、あるいは丈夫なデスクの下など、安全地帯を作っておこう。スタッフ人数に応じて検討してみるのはいかがだろうか。